王子様とブーランジェール




集まってきた小さい男子たちは、来るなり美奈人の後ろから顔を出している。

そして、とんでもない発言をかましてくれるのであった。



「なあなあ美奈人、ひょっとしてこの姉ちゃんが美奈人のけっこんあいてかー?」



その差した指の先は、桃李…!



なっ…!

何だと!



すると、美奈人は照れるどころか、ドヤ顔をしている。



「おうよ!この女が俺としょうらいをそいとげるよめの桃李だ!おまえら、おぼえとけよ!」



将来を添い遂げる、嫁…!

おまえ、この…!



…いやいや、ガキの言うことだからな。

あまり本気で相手にしているつもりはない。

よくあるじゃねえか。

その場の勢いで「けっこんしようぜ!」ってな。



「美奈人ってば。もう」

そう言って、桃李は美奈人の額をつつく。

だが、ヤツは。

「えへへ。おれたちらぶらぶだな。わたあめあーんして」



…ぬおぉぉーっ!!

何か知らんがムカつく!!

小学生のくせに、デレッとしてやがる!それがムカつく!!



「美奈人、なんでこの姉ちゃんなのー?」

「そうだそうだ。どこすきなの?」


後ろで友達が次々に質問している。

まあ、小学三年生が高校一年生を嫁にするなんざ、普通じゃ理解し難い部分があるよな。



しかし、このクソガキ。

またドヤ顔で熱弁をする。



「それはな?…かおがかわいくて、おっぱいが大きいからだ!それ以外、なんもりゆうない!」



顔が可愛くて、おっぱいが大きい?

何を言ってんだ、このクソガキは。

母さんのおっぱいしか吸ったり見たことないヤツが、何を熱弁しているんだ。このバカ。

やってらんねえ。

と、思う反面。

すげえムカつくのはなぜか。



「おんなはかおとおっぱいにかぎる!…竜堂ジュニアもそうおもうだろ?な?」



黙れ。イケメンリーダー。

なぜそこを俺に振るんだ。

もし本当に、桃李をそんな目で見てるなら、はっ倒すぞ。

昨日のカオスなうちわに名前書いてやるぞ!

しかし、こんなランドセルボーイを敵視している自分が情けない。



クソガキの大胆発言にイラッとしていると、今度は女子小学生が俺の傍にやってきた。



「ねえねえ、おにいさん、胸キュンシアターのひとでしょ?」

「わー!イケメンだー!しゃしんとってくださいー!」

「わたし、このおにいさん、とうひょうするー」



カオスな状況、まだ続いてますか…。


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