先生。


「そうやって他の男にも言うの?」


「言わない」





また、寂しそうな目で先生は私を見る。


私なら、絶対そんな目させないのに。





「司のことも、本当に事故なのに何も聞いてくれないのは先生の方じゃん」


「事故でも故意でも関係ねぇんだよ。立花とキスしたって事実が無理…」





そう言ってる途中で止まった先生。





「ほら…やっぱり…嫉妬してるんでしょ」





そう言って私は少し背伸びをして、先生にキスをした。


触れるだけの、ちょっとしたキス。



唇が離れた時には、腕を掴まれてガッチリ固定される。





「…こっちが我慢してんの何も知らねぇだろ」


「我慢しなくていいじゃん…」





そう言ったら、掴まれていた腕を引かれて、机に座る先生の足の間に立つ。


目が合えば、本当にスローモーションみたいに先生の唇と重なった。

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