先生。
反応はなし。
「玲太」
何度呼びかけても、こちらを向かない。
寝てるのかな?
こっち側からじゃ背中しか見えなくて、顔の見える方にまわった。
「……玲太?なにこの怪我…」
見下ろす玲太の目が腫れて、唇に血が滲んでる。
「なにこれ…ねえ、喧嘩したの?」
「別になんもねーよ」
そう言った玲太の目に光が見えない。
いつもみたいな馬鹿にしたような、楽しさもない。
「何もないわけないじゃん…私には話せば楽になるとか言っといて、自分は話さないの?」
そう聞くけど、玲太は遠くを見て私を見ない。
「ねえ、聞いて…」
「今日、母親の命日」