先生。
「喫煙野郎…」
「譲先生でしょ?」
声と笑顔のトーンが全く合っていない。
そういうのも、もううざったくて立ち去ろうとしたら、ガッと腕を掴まれる。
「なんであんなことしてんの?」
「関係無いですよね」
「あるよ。今日から担任じゃん」
禁煙の校内で、タバコ吸いながら言われてもね。
何にも響かないんですけど。
「助けてくれんの?」
「まあ、事情にもよるわな」
嘘ばっかり。
「へえ。じゃあお金ちょうだい」
「は?」
「父親はいないし、母親は男と遊んでばっかり。だから、ああいうことしないと生きてけないんだよね」
私がそう言うと、先生の顔は次第に歪む。