先生。
「家にいても大嫌いな女の顔が目に入るし、それならお金くれる男の人と遊んでた方が良いでしょ?」
私がフフッと笑ったのを最後に、ここには風の音しか響かない。
…ほらね。
こう言えばもう二度と近づいてこないんだよ。
初めは心配そうな顔して近づいて来るくせに、本当のことを言えば目の色変えて離れていくんだよ。
教師ってさ。
初めから解決しようなんて思ってない。
ただ悪い奴には説教して‘‘教師’’って自分の立場に溺れてるだけ。
言えば、口先だけの偽善者。
「まあ、そういうことなんで。私に関わらない方がいいですよ」
そう言って先生の腕をパッと払い退けた。
「じゃあね」と言って、せっかくサボろうとしていた屋上を出ようと、ドアノブに手をかけた時。
風がふわりと、私の頬を撫でたような気がした。