星の向こうできみを待っている。

諦めたくないから


「やだ…いたいのやだ…っ!」


同じ病室で泣き叫ぶ小学生の女の子。

この声を聞くと、なぜかユウくんを思い出す。

こんな風に泣き叫んでたな…。


「ねぇ、先にあたしに点滴してよ」


ベッドから起き上がると、看護師さんのところに行き腕を出す。


「えっ?でも…」


「いいじゃん、どーせするんでしょ?」


看護師さんは、一瞬困ったような顔をしたけれど、すぐに準備してくれた。

腕にひんやり伝わる消毒液。

チクッと針が刺さっただけでなんともない。


「ほら、全然痛くないよ。それに、これには元気になるためのお薬がたくさん入ってるの。早く元気になるために頑張ろうよ。ね?」


女の子は目に涙を溜めながらうなずく。


「怖かったら、目つぶれば見えないよ」


ぎゅっと目をつぶると看護師さんがその間に針を刺す。


「ほら、もう終わったよ」


「ぜんぜんいたくなかった…。おねえちゃんありがとう」


にーっと笑う女の子。

思わずあたしにも笑みがこぼれた。
< 256 / 397 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop