さよならのまち
「凛ちゃーん!!しっかり5万持ってきたよね??」
この声は…優里だ…。

優里は、私をいじめてくる5人グループの
2番目に権力を持っている。

「5万円なんて…。」
5万なんて持ってこれるはずがない。
「は?ちゃんと持って来いって言ったよなあ?そんな事もできないクズなの?」

やっぱり、怖い。どんどん黒く濁っていく。

「キャハハハ!優里、こいつビビってるよ!だっさぁ~い!!」
この声は、優里を取り巻いている園田美桜と河野莉音だろう。いくら視界が黒く濁っているといえども、声ははっきり聞こえてくる。頭にキンキン響いてくる甲高い声だ。

また苦しい日常が始まる…

そう思った時…
「おはっす!」クラスでも明るい風上くんが
教室に入ってきた。私がいじめられていることをクラスの男子は知らない。だから私が涙を目に浮かべているところを見て、心配して駆け寄ってきた。
「鈴村?どしたの、そんな泣きそうな顔して。こいつらになんかされたのー?」優しく声をかけてくれた風上くんを見て、泣いてしまいそうになったが、その涙をこらえ、「ううん、大丈夫だよ!」と
答えた。そこに口を挟んできたのは優里だった。
「風上は優しいねえ~。凛、今ちょっと熱っぽいんらしいんだあ~。だから今から保健室、連れて行ってくるよ!!」
この言葉を聞いた瞬間、私は凍りついた。
きっと、陽菜の指示だろう。冷たい目で陽菜がこちらを見つめているのに私は気づいてしまった。

「そうだったのか、鈴村。大丈夫か?お前ら、鈴村に変な事すんなよ~!」と風上くんは言った。
「するわけないじゃん!」と優里が笑って言う。
二人の会話を聴きながら私は今から始まる地獄を考えるとゾッとして、思わず身震いしそうだった。

今回のお仕置きは相当酷いものになりそうだ。
だって、私がいじめられる原因になったのは…

風上くんと陽菜にあるからだ。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

君が初恋でした。

総文字数/757

恋愛(純愛)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop