嫌いの反対
その間になんとなく気まずさが流れた。
「おまえさ」
その沈黙を破ったのは波留多で
「もし、黄竜の奴らが信じたら…お前は黄竜の姫に戻るのか?」
波留多から紡がれた言葉に返事をしようと顔を上げるが、瞬間、その行動は阻止される。
まるでスローモーションみたいに。
伸びてきた腕。
引き寄せられる体。
泣きそうな波留多の表情。
鼻をかすめた柑橘系の香り。
「え?」
すべて、波留多に抱き寄せされているせいで。