星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
7月~夏合宿
 そんな日々も長くは続かなくて。


 3年生は1学期いっぱいで部活を引退する。
 こうして準備室を訪れるのもあと僅かだった。


(先生と接点なくなっちゃうんだな)

なんて思っていた時、下級生たちが話しているのを耳にした。


 映研の夏合宿に先生が同行するという。


「ねぇ、揺花。夏合宿、行ってみない?」


 その話を聞いた翌日の部活の時間、何気ない風を装って揺花を誘った。


「3年は行かないよ?」


「だからこそ!引退してると逆に卒業旅行みたいで楽しそうじゃない?

 それに私、今まで部活入ってなかったから合宿って行ったことないし興味あるもん」

「うーん…」


 唸る揺花の視線の先には顧問の宇都宮。


 私は気付いてる。

 揺花が昔から宇都宮を好きなこと。


 当の揺花は何も言わないけれど。


「じゃあ…夏期講習の日程が変えられそうなら行こうかな」


 こうして私たちは夏合宿に参加することになった。

 先生と一緒に…

        *
< 16 / 316 >

この作品をシェア

pagetop