星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」
 夏休みに入ると、直ぐに夏合宿が行われた。


 どの部活も合宿は全て、隣県の海辺にある学校所有の宿舎で行われる。日程は二泊三日。


 合宿の内容は、秋の文化祭で上映する自主製作映画の撮影がメイン。

 でも、それは新部長の2年生が取り仕切っているので、私と揺花は基本的にすることはない。


 撮影や食事の支度の手伝いをしたりもするけれど、初日は大半寝泊まりする部屋で参考書を捲りながらお喋りをしたり、海岸を散策したりして過ごした。


「そう言えば、舞奈は結局進路どうしたの?」


 夕方、海岸から戻る道すがら、揺花が私に尋ねてきた。


「ホントは国立大学受けたくないって言ってたでしょ?

その後どうしたかと思って」


 両親に地元国大の教育学部を勧められて、いや、事実上強制されていることを私は揺花に話していた。


「結局何言っても私の意見は却下でさ。
 とりあえず受けて、落ちておくことにした。

 2、3年落ちておけば親も諦めるでしょ」

「それからどうするの?」

「それからのことはそれから考える」


 揺花は視線を落として、

「なんか、勿体ないな。舞奈頭良いのに」

と呟く。


「やりたくないことやって生きる人生の方が勿体ないよ」

と私が言うと、揺花は私を見て小さく微笑み、

「そうだね」

と同意してくれた。
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