向日葵だけが知っている
「私ね。オーディションに受かったの!」

そう言って笑うキミに、俺は固まった。
「…それって、アメリカのミュージカルの?」
「もちろんよー。」

俺はさらに固まった。

同じ大学に進んだ俺と光希は二人とも、名門演劇サークルに入った。
光希には、演劇の恐ろしい才能がある。光希はサークルでも、主役を演じるほどの実力だった。

対して俺は、平凡な脚本家だ。
光希がいるから…演劇部に入ったし、光希がいるから…サークルも演劇に入った。

それだけだ。


…でも、そんな毎日は長く続かなくて…。光希は、アメリカのミュージカルのオーディションを受け、見事に合格した。


つまり…光希はアメリカに行くってこと。
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