先生はめんどくさがり。



「啓太…起きてる?」





学校から帰ってすぐ。


啓太の部屋の、扉の前。



問いかけるけど、返事はない。





「これは…私の独り言だから」





きっと啓太は起きている。



返事はいらない。


ただ誤解を解きにきた。



…幼馴染みとして。





「ミヤちゃんが、啓太を好きだって聞いた時はすごく複雑だった。応援したい気持ちもあるけど、啓太の気持ちを無視していいのかなって」





私にとって先生の存在は大きいけど、啓太のことだってとても大きい。


小さい頃から一緒にいた啓太の大きさなんて、測っても測りきれない。





「でもね。ミヤちゃんが啓太の眼中にも入ってないけど…って言った時、今の私と重なった」





「まあ…言い訳にしか聞こえないよね…」そう付け足した時、中から音が聞こえて、扉が開いた。

< 120 / 284 >

この作品をシェア

pagetop