先生はめんどくさがり。
「啓太…起きてる?」
学校から帰ってすぐ。
啓太の部屋の、扉の前。
問いかけるけど、返事はない。
「これは…私の独り言だから」
きっと啓太は起きている。
返事はいらない。
ただ誤解を解きにきた。
…幼馴染みとして。
「ミヤちゃんが、啓太を好きだって聞いた時はすごく複雑だった。応援したい気持ちもあるけど、啓太の気持ちを無視していいのかなって」
私にとって先生の存在は大きいけど、啓太のことだってとても大きい。
小さい頃から一緒にいた啓太の大きさなんて、測っても測りきれない。
「でもね。ミヤちゃんが啓太の眼中にも入ってないけど…って言った時、今の私と重なった」
「まあ…言い訳にしか聞こえないよね…」そう付け足した時、中から音が聞こえて、扉が開いた。