次期社長と訳あり偽装恋愛

「きっとモデル体型の美人で料理上手で、非の打ち所のないような人なんだろうな。じゃないと難しいですよね。あ、そろそろ時間なんでお先に失礼します」

「お疲れさま」

ペラペラと喋った後、軽い足取りでフロアを出て行く友田さんを見送った。

さっきは本当に驚いた。
まさか、友田さんの口から立花課長と金城さんの話が出てくるなんて思ってもいなかった。

難攻不落か……。
そんな人と一緒に食事に行ってもいいんだろうかと、ずっと葛藤している。

手にスマホを持ったまま五分が経過していた。
机に突っ伏し、これからどうしようか考える。

そもそも、告白現場に居合わせただけで私は何もしていない。
だから、立花課長にお礼とかしてもらう必要はないと思うんだけど……。
はぁ、とため息が出る。

「具合でも悪いの?」

そんな声が耳に届き、顔を上げるとすぐそばに立花課長の整った顔があった。

「っ!!!」

驚きのあまり声にならない声が出る。

「あ、驚かせてごめんね。河野さんから一向に連絡がないから気になって直接来てみたんだ」

そう言って笑顔を見せる。
ホント心臓に悪いんですけど。

「わざわざ来てもらってすみません。具合は悪くないんですけど、何て言って連絡していいか分からなくて……」

「そっか。俺に連絡しようと悩んでくれていたんだね」

立花課長は私が手に持っていたスマホに気づくと、嬉しそうに言う。
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