次期社長と訳あり偽装恋愛

次の日の夕方、立花さんがお土産を持ってきてくれることになっていたので私は晩ご飯を作って待っていた。

立花さんのリクエストはパスタがいいとのことで、私はミートソースパスタを作ることにした。
他のメニューは野菜スープと生ハムサラダ。
最近、野菜を摂れていないみたいだったのでそこも考慮した。

立花さんはどれも完食し、食べ終わった食器を綺麗に洗ってくれた。
私はその間にコーヒーを淹れてリビングのローテーブルにコーヒーカップを置いた。

「最近、忙しそうですね」

今日も昼過ぎまで寝てたと言っていた。
仕事で疲れが溜まっているんだろう。
前は寝不足で目の下に隈があった。
私が出来ることといえば、ご飯を作ることぐらいしか思い付かない。

「今、いろんなことが立て込んでいるからね。でも、梨音ちゃんとこうして一緒にいる時間は大切にしたいから」

甘やかな笑みを浮かべ、立花さんの手が私の頬に伸びてきた。
ドキドキしながら見つめ合っていた目を閉じれば、私の唇に優しいキスが落とされる。
甘美なキスにたどたどしくも必死に受け止めた。

立花さんと過ごす日々は穏やかで私に幸せな時間を与えてくれる。

立花さんへの想いはどんどん膨らんでいく。

この幸せがずっと続けばいいのにと思わずにはいられなかった。
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