次期社長と訳あり偽装恋愛

「その意気だよ!じゃあ、私は玲奈に断りのメールを送っておくね」

私は親指を立てて宮沢の健闘を祈る。
さっきの顔を見たら大丈夫だと確信が持てた。
あとは玲奈の返事次第だけど。
私はスマホを取り出し、玲奈にメッセージを送る。

《お疲れさま。今日、残業することになったから飲み会に行けなくなった。宮沢には言ってるけど、ごめんね》

謝罪のスタンプも一緒に送るとすぐに返信が来た。

《お疲れ~。了解。じゃあ、宮沢と飲んでくるよ。仕事、頑張って!》

変なキャラの頑張れ!というスタンプが送られてきた。
私のドタキャンを怪しむ様子はなくてよかった。

さて、お膳立てはした。
あとは宮沢が頑張るだけだ。

「お疲れ。じゃあ行ってくるよ」

「お疲れさま。頑張って!」

宮沢は静かに頷き、背を向ける。
私は上手くいきますようにという思いを込めて見送った。

玲奈に残業すると言った手前、あと少し仕事をして帰ろうと思っていたらスマホにメッセージが届いた。
画面を見ると立花さんからだった。

《お疲れさま。今日の夜遅くには帰れそうだよ。お土産を買って帰るから楽しみにしておいて》

そっか、今日帰ってくるんだ!
夜遅いってことは今日中は無理だけど明日には会えるかな。
一気にテンションが上がり、やる気が出てくる。
月曜にやろうと思っていた企画書を仕上げようと気合いをいれた。
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