次期社長と訳あり偽装恋愛

料理はどれも美味しくて目の前に置かれたお皿の中身を見るたびにテンションが上がってしまった。
そして、メインの牛フィレ肉のソテーも残さず食べた。
最後にデザートが運ばれてきた。
シフォンケーキの横に自家製ジェラートが添えられている。
ミントをよけて、ジェラートをスプーンですくって口の中にいれた。

「んー、美味しい」

思わず口に出してしまった。
それを見ていた立花さんはクスクスと笑う。

「河野さんてホントに美味しそうに食べるよね。さっきもニコニコしながら食べていたし、見てて気持ちがいいよ」

「あ、すみません」

恥ずかしさで顔が赤く染まる。
どうして黙って食べていられなかったんだろう。
食いしん坊とか思われてそうだ。
私のバカ!

「どうして謝るの?美味しそうに料理を食べる子って好きだよ」

そういう意味でいった訳じゃないと思うけど、あまり免疫のない私は好きと言う言葉にドキッとしてしまった。

よく食べる子が好きと言っただけで、私が好きということじゃないと分かっているけど、立花さんにそんなことを言われたら勘違いする人は続出すると思う。

それにしても、立花さんは何をするのもスマートで所作が綺麗。
箸の持ち方から食べ方まで。
優しいし格好いいし、仕事は出来るし御曹司だしパーフェクトだよね。
こういう人をハイスペック男子っていうんだろうな。
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