次期社長と訳あり偽装恋愛

次の週の日曜日、私は立花さんに花火大会に誘われた。

花火大会、子供の頃に浴衣を着て家族で何度か行ったことがある。
それからはなかなか行く機会がなく、花火大会は十数年ぶりだ。

夕方、立花さんが部屋まで迎えに来てくれて花火大会の会場に出掛けた。
打ち上げ場所近くの川沿いにたくさんの屋台が並んでいる。
その屋台からイカ焼きなどの香ばしい匂いが鼻をくすぐる。

人混みの中、立花さんと並んで歩きながら何を食べるか話していた。
久々の花火大会の雰囲気に私は浮かれていた。

まず、目についたイチゴ飴とベビーカステラを購入した。
りんご飴やブドウ飴も並べて売っていたけど、私はイチゴを選んだ。

次は焼そばを買おうということになり屋台を探していたら、視界に飛び込んできた看板を見て声が出た。

「あっ、クレープ」

「食べたい?」

「はい。立花さんはいりますか?」

会社では立花課長、プライベートでは立花さんと呼び分けるようにしている。
ずっと立花課長と呼んでいたので、二人でいるときもついそう呼んでしまうことがあり、その都度、立花さんに訂正されていた。

そして今日の立花さんの服装は、ボーダーTシャツの上にカーキのシャツを羽織り、黒スキニーを履いている。

私はネイビーのパフスリーブブラウスにデニムというカジュアルスタイルだ。
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