天使と悪魔の駆け引き
「おい、美紅。さっき笑ったな?笑ったよな?」
五時間目が始まり龍玖は小声で話しかけてきた。
私は横目で龍玖を見て、また私は笑いそうになり口を押さえた。
「だって、ませてるなあ。って思ってさ。クスッ」
「妬かないんだ?」
「なんで、あんたに妬かなきゃいけないのよ。妬く所か爆笑よ。あんなの。漫画みたい。」
私が小馬鹿にしたら、龍玖はムスッと不機嫌そうな表情を浮かべる。
馬鹿だねえ。
子供みたい龍玖って。
そう思いながら笑っていると龍玖は軽く私を叩く。
笑うな、と言いたいんだろう。
無理無理…。
腹いたい――…
カサッ
机に何か飛んできた。
紙?
どうせ、死ねとか
書いてあんだろ〜。
―なんか、関谷と仲良さそうだな
よかったら、今日
一緒に帰らないか。
拓也より―
うっそっ!
マジでっ?!
やばい嬉しい。
前を見ると拓也が私を見ている。
そしてOK?と聞くように拓也は丸を指で描いた。
私は大きく首を縦に振った。
「どうしたの、美紅。」
龍玖は私を見る。
私は顔を赤くして笑った。
嬉しそうに、楽しそうに。
そんな美紅を、悲しそうに悔しそうに見ていた龍玖なんて私は知らなかった。