優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
諦めていないのは俺だけか、って寂しそうに笑う。
見ている私も胸が痛くなるような、そんな表情だった。
彼は本当に転校を阻止できるって思ってるのだろうか。
お父さんと喧嘩しても一ミリも変わらない現実を、彼はちゃんと見ているのかな。
ふと、立ち止まって彼の背中を眺めて胸が痛んだ。
クラスの人気者が、名前を変えて小説を書いてネットに乗せる理由。
明るくて、いつも楽しそうな彼が、小説の中で理不尽な先生たちを殺してしまう物騒な展開。
その二つが上手く結びつかなくて、なんだか少し怖かった。
彼は一人で抱えている思いが沢山あるんじゃないか。
稚拙な文を並べても、ランキング二位をとるような彼の小説。
伝えたいことがちゃんと書かれているんじゃないかなって思ったんだ。