【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「蘭子ちゃんの好きにしたらいいよ。このままずっと、ここに居てくれても構わないしね」

美智子おばちゃんはそう言うと、日当たりの良い縁側に腰を下ろしたわたしの隣に座る。

「ずっと、かぁ……。それもいいかもしれないなぁ。ねえ美智子おばちゃん、近い内にお母さんと住んでた家に行こうと思ってるの」
「そう。ちょくちょく空気の入れ替えして、掃除もしてあるわよ」

美智子おばちゃんは何も聞かない。今はそれがありがたい。

いつもなら前もって帰る連絡をするわたしが、何も言わず帰ってきた時点で、美智子おばちゃんはきっと何かを感じ取ったんだと思う。

優しい美智子おばちゃんのことだ、このままずっと聞いたりしてこないだろう。でもいつの日か、心の傷が完全に塞がったとき、話を聞いてもらいたい。何ヶ月先になるかわからないけれど、その時ならきっと笑って話せる──そう思った。



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