【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
大切な場所とキスの意味
腹が減っては戦は出来ぬ──

と言わんばかりに、カルボナーラを大口で頬張る。それをすばやく咀嚼すると、お皿にふんわりと盛られた新鮮野菜のサラダに手を伸ばした。

悔しいけれど、愛川先生の作ってくれたカルボナーラは最高に美味しい。どこかに粗がないかと探ってみたけれど、完璧すぎて文句のつけようがない。野菜サラダも手作りだというレモンドレッシングが絶品で、彼の料理の腕には悔しいけれど脱帽だ。

「旨いか?」

愛川先生にそう聞かれて、素直に頷いた。

ホントはすぐに、愛川先生と話をするつもりだった。でも彼の腕から開放され緊張からも解き放たれた瞬間、わたしのお腹から「ぐうぅぅぅ~」と奇妙な音が鳴り響き、先に食事を摂ることになってしまった。

何も、このタイミングで鳴らなくても……。

そう思っても、鳴ってしまったものは今更どうしよもない。昨日の夜から何も食べてないことを思い出したわたしは、カルボナーラの美味しそうな香りの誘惑に負けてしまい、今に至っている。

「愛川先生、もう少し待っててください」
「慌てるな。俺は逃げも隠れもしない、ゆっくり食べればいい」

愛川先生はもう食べ終わっていて、食後のコーヒーを飲みながらわたしのことを見ている。

「そんなふうに見られたら、食べにくいんですけど」
「気にするな」

そう言われても……。



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