【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「ごめん……」

愛川先生のその言葉に顔をあげると、彼の困ったような顔が目に入ってきた。

「まだ当分手に入らないと思っていた蘭子が目の前にいて、ちょっと先走りすぎた。さっき言ったことは本当だけど、蘭子はゆっくり俺を好きになってくれればいい」

そう言って愛川先生はわたしの額にチュッとキスをすると、もう一度私の体を抱き寄せた。しばらくそのまま、黙って抱きしめられていた体を、自分からゆっくりと離した。

「考えて……みます」

そうは言ったものの、何を考えればいいのだろうか。人を好きになるというのは、考えて答えが出るものじゃない。いくらわたしに恋愛経験がないと言っても、それくらいはわかる。

でも愛川先生の真っ直ぐな瞳に見つめられたら、ついそう口走ってしまった。

「考える、か。それも悪くないが、考えなくても蘭子は俺のことを好きになる」

自信満々にそう言う顔は、ニヤリとほくそ笑んでいるように見える。

「なんですか、それ。愛川先生は、やっぱり愛川先生ですね」

こういうところは病院で見る愛川先生だと、思わずクスッと笑ってしまう。

「真澄」
「え?」

突然発せられた言葉に、笑っていた顔がピタッと止まる。



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