終わりは始まりか ~私達の場合~
私とお父さんは驚いた。

「いや…、俺が陽輝に近づき過ぎて圧倒させていないかって、美月があいつに言った事があったんだろう?あいつがポロリと俺にその事を言ったんだ。それから自分なりに陽輝に対して前のめりにならないように気を付けていた。」

伊吹が差し出した手に、陽輝が笑った。

「やっとその言葉の意味がちゃんと分かったような気がする。」

麻生くんったら…。

思わず私は苦笑いをする。

私が何気に言った事を伊吹に伝えていたなんて。

「実はあいつは良い奴なんだな。」

伊吹のそんな言葉にお父さんがうなずいている。

「美月、もうあいつは戻ってこないのか?」

「多分ね。」

私は自然に笑えただろうか。

麻生くんは自分の痕跡をこんなに残していった。

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