終わりは始まりか ~私達の場合~
ああ、あの現場は…。

それよりもさっきお名残り惜しく放した手を思い出す。

「確か海外から帰って来たばかりの施主さんで、かなり個性的な家になった現場です。」

麻生くんの言葉はウキウキしているようだ。

「あの現場は楽しかったわ。大変だったけど、思う存分やらせてもらったって感じだった。」

私は自然に笑顔になる。

かなり海外の派手なものをチョイスして、他にはない空間を作り出した現場だ。

その分、いろいろと勉強もさせてもらった。

施主さんはかなり明確なイメージを持っていた。

それに合致しないと絶対首を縦に振らなかった。

壁紙も照明も家具もどれだけのカタログを集めた事か。

一緒にショールームをどれだけ回っただろう。

「またああいう仕事をしてみたいわ。」

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