終わりは始まりか ~私達の場合~
「なあ、美月。」

私が最後に自分のコーヒーを持って座った時だった。

「…本当はもうどうでもいい事なのかもしれないな。」

そうポツリと言ったのは伊吹。

「何が?」

私は不思議そうに伊吹を見る。

麻生くんはコーヒーを一口飲み干したところだった。

「陽輝の父親の事だよ。」

麻生くんと私は同時に伊吹の方を振り返った。

「何だよ。」

少し驚いたような伊吹の表情。

そしてふっと力を抜いたように伊吹は静かに話し出した。

「陽輝の父親を一人に絞らないで、こういう雰囲気で、みんなで育てるってやり方もあるような気がする。」

麻生くんはチラリと私の様子を伺った。

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