終わりは始まりか ~私達の場合~
すると麻生くんがクスリと笑った気配を感じた。

「ああ、これから口説こうと思っていたのにな。」

私は鼓動が早くなるのを意識しながら、麻生くんの背中に甘える。

どうやらどこかのアパートにたどり着いたようだ。

麻生くんは私をおんぶしたまま、身体をくねらせながら、廊下を上手に進んでいく。

そして麻生くんは私をどさりとベッドへ降ろした。

「…起きているんでしょう?美月さん。」

私は目を開けて、思わず微笑む。

「完全に眠りきれなかっただけよ。もう少しおんぶされていたら、完全に眠ってしまっていたわ。」

嘘ばっかり。

私は心の中で舌を出す。

「そういう事にしておきましょう。」

麻生くんは私の顔を覗き込む。

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