勇気の魔法は恋の始まり。
その日の夜、水帆はスケッチブックのお礼を言い忘れたことを思い出した。
それとともに芋づる式に色々と思い出す。
果たして本当に精霊などいるのであろうか。
あの時の水帆はアドレナリンが放出されていたのか、何も違和感のないまま受け入れてしまったが、冷静に考えてみると全く根拠のない話ではないか。
もし嘘だとするならば祐樹の想像力がよほど豊かであるか、そうでなければよっぽど「痛い」ということになってしまう。
しかし、祐樹は全くそのように見えない。
信じても良いのだろうか。
机の前でぼうっと思考を巡らせていた水帆がはたと我に返った時にはとっくに十時も回っていて、目の前の課題である感想文は何ひとつ進んでいなかった。
しかしそこから全く進む気もせず、その日は結局何もしないままベッドに入った。
後日、その感想文の提出がギリギリになって寝たことを後悔したのは余談である。