片翼の蝶


✻

「……い、……ぎ、……すぎ、高杉!」


はっと、目を開ける。


眩しい光が差し込んできて、
思わず目を細めた。


一体ここはどこ?


「た、大志?」


「そうだ。俺だ。高杉、だよな?」


「う、うん」


「良かった。無事に戻れたんだな」


「私、帰ってきたの?」


体を起こすと、そこは見慣れた部屋だった。


何もない質素な部屋。


パソコンが一台、起動していた。


ここは大志の部屋なの?




テーブルの上には、珈琲が二つ、置かれていた。
湯気はもう出ていない。


それを見て、今まで珀がここにいたんだと知る。


私は弾かれたように辺りを見回した。


「珀!珀!」


隠れるところは何もないはずなのに、珀の姿がない。


呼んでみても、返事もしない。


私は立ち上がってウロウロした。


そんなに探したって見つからないのに、
訳もなく人様の家を探る。


そんな私を見て、大志は言った。


「珀、いないのか?」


「う、うん。いないの……」


「珀から、伝言、預かってる」


「伝言?」


眉を顰めて大志を見ると、
大志は言いにくそうに鼻の辺りをかいた。





「家に帰って、俺の小説を読め、って」





「小説?」



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