片翼の蝶
小学生にしては綺麗なその文字は、
そんなことを綴っていた。
手紙の冒頭はそんな感じだった。
梨花は今十七歳。
これを書いた子も十七のはず。
手紙には自分が死ぬまでのことが
事細かに書かれていた。
自分は病気をしているとか、
どこの中学に入り、どこの高校に入るか。
部活は何をするか。
梨花はその手紙の最後の方へ目を落とした。
一番左端に書いてあるのは
これを書いた子の名前。
手紙の主、翔太は偶然なことに
梨花と同じ高校に通っていた。
これを見た梨花はいてもたってもいられず、
翔太を捜すことに。
『翔太は病気だったんだ』
ページを捲った。
梨花はついに翔太を見つけた。
翔太に手紙のことを話すと、彼は薄く笑って
自分が病気であることを打ち明けた。
それから二人はいつも一緒にいた。
病気をして、この世界にうんざりしている
翔太の気持ちと、
生きる価値を見出せない梨花の気持ちとが重なり合って、
二人はお互いの気持ちをとてもよく理解するようになった。
頷き合っては時に相手を諭し合う。
それが楽しく、とても有意義な時間に思えた。