片翼の蝶



小学生にしては綺麗なその文字は、
そんなことを綴っていた。


手紙の冒頭はそんな感じだった。


梨花は今十七歳。


これを書いた子も十七のはず。


手紙には自分が死ぬまでのことが
事細かに書かれていた。


自分は病気をしているとか、
どこの中学に入り、どこの高校に入るか。


部活は何をするか。


梨花はその手紙の最後の方へ目を落とした。


一番左端に書いてあるのは
これを書いた子の名前。


手紙の主、翔太は偶然なことに
梨花と同じ高校に通っていた。


これを見た梨花はいてもたってもいられず、
翔太を捜すことに。






『翔太は病気だったんだ』





ページを捲った。



梨花はついに翔太を見つけた。


翔太に手紙のことを話すと、彼は薄く笑って
自分が病気であることを打ち明けた。


それから二人はいつも一緒にいた。


病気をして、この世界にうんざりしている
翔太の気持ちと、


生きる価値を見出せない梨花の気持ちとが重なり合って、
二人はお互いの気持ちをとてもよく理解するようになった。


頷き合っては時に相手を諭し合う。


それが楽しく、とても有意義な時間に思えた。


< 16 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop