片翼の蝶
溢れてくる思いが止まらなかった。
単純に、私はこのお話の続きが
気になってしかたなかったの。
一人取り残された梨花はどうなってしまうの?
あなたの死を目の当たりにして、
どうやって生きていけばいいの?
もしかしたら梨花は、
死んでしまったかもしれない。
あなたを追って、
死を選んでしまったかもしれないのに。
私が問うと、珀は少し考えるように目を閉じて、
息を吸った。
こうしていると普通の人間みたい。
まだそこに生きているみたいで、心臓が高鳴った。
死んでいるなんて嘘。
嘘であってほしかった。
珀は目を閉じたまま、もう一度息を吸った。
吸い込む息は、とても小さくて。
だけど口から零れ落ちた言葉はとても力強かった。
〈お前に、頼みがある〉
「頼み?」
〈三つだけ、願いを叶えてほしい。
頼めるのはお前しかいないんだ〉
風が吹いた。
窓も開いていないのに。
私は一歩、後退した。
何を頼まれるんだろう。
幽霊と関わるとロクな事がない。
そう思って生きてきた。
私がここで彼の言葉に頷くのは
得策じゃない。だけど。
「な、なんなの?」
〈手紙を届けてほしい〉
「手紙?」
珀は大きく頷いた。