愛って何よ?
おそらく、野村くんが今言った相手と言うのは私で間違いない。

今まで見たことのない、熱っぽい視線を向けられて体は強張るのに鼓動は激しく打っていた。

とどめの一言に、私は逃げも隠れも出来なくなったわけだ。
人としても、職場の同僚としても知らんぷりでは通せない所に持っていかれてぐうの音も出ない。

そんな私ができるのは最早、事実確認だけ。

気持ちを受けとることも、聞き流すことも出来ない私に唯一できるのはそれだけだ。

「…野村くんは男性が恋愛対象なんじゃないの?」

ドクドクと伝わる心臓の音がうるさい。

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