甘く抱いて、そしてキスして…【完】
里奈さんが病室を去ると、穂乃香さんは、大きなため息をついた。

「どうしました?大丈夫ですか?」
私は青白い顔を見て、心配になった。

「退院したら、両親が帰ってこいって言ってるの。私は、妹夫婦もいるから、嫌なんだ」

「そう、そうですよね…でも、しばらくは、甘えさせてもらったら、どうですか?」

何が良いアドバイスなのかわからないが、思ったまま言ってみた。

「うーん、だよね?でも、親にも損害賠償金と罰金払ってもらったり、たくさん迷惑かけたから、1人がいいんだよね。難しいよね…」

親のいない私には、羨ましい話だが、分からなくもない。

「期間決めたらどうですか?2週間、1ヶ月だけとか…」

「あーなるほど。それなら、大丈夫かもしれない。美園ちゃん、ありがとう」
穂乃香さんは、少しずつ顔つきが明るく元気になっていた。

良かったー

「穂乃香さん、まだ無理はしないで下さいね。」

「優しいね、美園ちゃん。翔ちゃんがぞっこんになるのわかるわー」
穂乃香さんは、嬉しそうに笑った。

「えぇーぞっこん?」

「うん、翔ちゃんは、美園ちゃんにメロメロだよー私もそんな人に出会いたいよ」

「そ、そんな、穂乃香さんなら、すぐに見つかりますよ」



早く元気になって、また輝いて……
私は心の中で強く呟いた。

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