甘く抱いて、そしてキスして…【完】
「あ、あの、里奈さんは、ご両親と一緒に暮らしてますか?」
私は恐る恐る聞いた。

「はい、そうですが…」
ちょっとビックリした表情の里奈さん。

「美園ちゃん、私の両親は、妹夫婦が見てくれてるのよ。私は結婚しないからさー」
笑いながら答える穂乃香さん。

「あ、あの、ご主人、真田司さんですよね?」

「えぇー?」
「えぇー?」

2人同時に、硬直するかのように発した。


「真田先生、【樋口学院】にいます。一緒に働いています」


「転職先、翔ちゃんのとこだったの?里奈言ってよ」

「えー?知らなかった……旦那あんま話さないから」
口を思わず押さえる里奈さん。

「ちょっと、里奈、ちゃんと司君に、言っておきなさいよ」

「はい、すみません」
里奈さんは、申し訳なさそうに軽く頭をさげた。



私達3人、動揺しながらも、最後には笑ってしまった。




翔太郎、こんなことあるんだね。
やっぱり運命ってあるのかな?
目に見えない糸が深く絡み合って……
決して切れない糸……

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