甘く抱いて、そしてキスして…【完】
まだ暗闇の中、今までの習慣で、朝早く目を覚ます。

「今、何時だろ?まっ、いいかー」

私は、隣りにいる翔太郎を幸せいっぱいに見つめる。

子供のような無邪気な寝顔。
たまらなく愛おしい。

私は翔太郎のサラリとした前髪を丁寧に触る。
起きて……心の中で呟く。


翔太郎は気持ちよさそうにまだ眠ってる。
塾の仕事は半日ズレてるんだから、まだ眠いのは当たり前だ。

そう、そう分かっているのに、なんだか私をまた深々と見つめて愛して欲しい……
優しく接して欲しい……


今度は、翔太郎の頬をツンツンと人差し指で触れる。
いいなぁ、ずっと見ていたい。

「…ん…」

翔太郎が不意に私と反対側に寝返りをする。

「あ、あーあ…」


私が諦めて、ベッドから起きようとした瞬間、翔太郎の大きな手が私をぎゅっと掴んだ。私はベッドに勢いよく引き戻された。

「ここにいろ」
翔太郎は、そう言うと私のおでこにキスをして、私を力強く抱きしめ、決して離さなかった。


私はその温もりに癒され、また眠ってしまった。


まるで夢を見てるかのように…


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