とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


「喬一さん、私ですね」
「ああ」

「今、父が勝手に新部署を作って会社がバタバタしてるし、喬一さんの受付の方が辞めるって聞いたし、そんなときに妊娠したら周りに迷惑かけちゃうかなって勝手に悩もうとしてたんですけど」

「そうなの」

「エコー写真を見て、そんな考えは全部吹っ飛びました。まず浮かんだのが、嬉しい!って感情です。驚きの後はただただ、嬉しい、喬一さんの子どもって喜びしかなかったです」

 へへっと笑うと、喬一さんは私の手を包むように握り、引き寄せてくれた。
 そして頭を何度も何度も撫でて、抱きしめてくれる。

「それでいい。思いっきり喜んで、そのあとのことは二人で悩もう。一緒に考えよう」

 俺も今なら空を飛べそうなほど嬉しいよと教えてくれた。


 なので何度も頷く。
 未熟で、いつも喬一さんに甘やかされて、そしてぶくぶくに幸せで太っていたけれど。
 お腹に来てくれた赤ちゃんのために、喬一さんとしっかりした大人になりたい。

 もっと自立した、大人の女性になりたいと、心からそう願った。
 そしてきっとできる、と喬一さんの隣で思う。

 こんなに幸せなのだから、溢れるぐらい満たされてるのだから、きっと赤ちゃんにも分けてあげられる。伝えていけれると思う。

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