とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 昔から、姉は負けん気が強く男の子と喧嘩しても負け知らず。はねっ返りで可愛げがない上に、自分をよく見せたり取り繕うことをしない不器用な人だった。

 そんな姉が結婚式の日、いつもの口うるさい姿を吹き飛ばし、美しい姿で立っていた。

 はっきり言って、口では勝てない上にいつも母親のようにうるさく、やたら張り合ってきた姉が、初めて女性だったのかと気づいた日。

 埋まらない席を見て、『来ない人の分は、私たちで食べちゃおっか』と麗一さんと豪快に笑っていた。
 姉は俺と違い、家の歴史を重んじ、その歴史のほれ込み、熱心に勉強してきた人だ。
 その人の努力を、その人の人生で一番綺麗な瞬間を、土足で踏み荒らし嘲笑った親戚を、どうしても許したくなかった。

 謝罪してきた人たちも多くいたし、行くなと脅迫されたと告げ口してくる輩もいた。でも、本心からなのか、うちと縁を切るリスクを恐れての謝罪なのか分からず許せなかった。

 許せないものは見なければいい。そう思っていたんだ。
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