とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 ご褒美だ、と額や頬に沢山キスすると、茹でタコみたいになった。

「何度もキスするのが嫌だ?」
「だ、っ い、いえっ。 でも回数が多いのは問題じゃなく、減少したときが問題かなとか」

「ふむふむ。俺が子どもの名前で悩んでいる時、君は減少するかもと悩んでいたのか」

「そういえば、子供の名前って、喬一さん、何冊本を買うつもりですか。積んでるけど読むとすぐ寝落ちしちゃうのに」

 沸騰した水に、一つまみ塩を入れ、パスタを流し入れようとしたので、マグカップを置いて代わりにパスタを奪った。

 そしてぐつぐつ煮えていた鍋の火を消した。

「――喬一さん?」
「今パスタを茹でたら、止める前に水がなくなるから止めた」
「え、料理の仕方、変でした?」

「いやスキンシップが減ったと不安がってる紗矢を甘やかそうと思って。甘やかす間に、パスタを茹でたら焦げるよ」

 おいでと抱きしめてそのままソファへと向かう。
 いつもなら恥ずかしいと暴れまわるくせに、今日はすんなりと一緒に座った。
 どうやら本当に寂しかったらしい。

 馬鹿だな。紗矢以外の誰に俺が興味を持つと思うんだ。
 あまりに可愛い反応に、お湯を止めたのは正解だったと数分前の自分を褒める。
 膝の上で、期待して震えている紗矢に、何度も何度もキスを落としながら、同時に俺も満たされていく。

 ご飯前の、甘いデザートは君の唇。

< 146 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop