とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 キッチンを見渡すと、見たこともない香辛料やスパイスが並べられているし、まな板も使用感がある。

「俺の料理を食べると大体の女性は、不機嫌になるか、私の料理は不味いから食べたくないのかと泣き出す。それが億劫というか面倒というか、煩わしいというか」

 はあ、と深く嘆息する。その深さに、喬一さんの今までの苦労がうかがえた。
「えっと……つまり、喬一さんの方がお仕事は忙しいと思うんですが、料理は任せた方がいいんですか?」

「俺がいる時は任せてほしいかな。あと、面倒くさいんだが俺が作ってるときは手伝いはいらない」

 そういって、包丁を取り出し、磨かれた包丁に顔を映して微笑んだ。
 外科医だから、手先が器用なのかなって言いそうになって飲み込んだ。

「私、あまり得意じゃないから、作ってくれるのは大変うれしいです」
 が、自分より忙しい夫に作らせるなんて罪悪感が無くはない。

「良かった。座って待っててくれ。簡単に作るから」

 いそいそとスーツのジャケットをハンガーにかけて、黒いエプロンを腰に巻きだす。
 そして、冷蔵庫からさっそくトレイに入れていた食材を取り出す。
 どうやら事前に仕込みは終わっていたらしい。

「見るのは大丈夫ですか?」
「ああ。ちょっと恥ずかしいけど、いいよ」
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