とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「は、ハッピーバスデー、です。あ、いや、ハッピーバースデー、イブ?」
 何を言ってるのか自分でも、バカな発言だなと思いつつも彼の胸に押し付けた。
「え、俺に?」
 喬一さんの視線が紙袋の中へ向けた後、私の方へ再び向ける。
 その蕩けんばかりの、くしゃくしゃの顔を見たら、私は全身の熱が顔に集中してしまうほど真っ赤になっていた。

「困ったな。家だったら抱きしめられたんだけど。抱きしめていい?」
「いや、他にお客さんもいるから無理です、中身なんですが、本当普通の――」
「いや、自分で開けて確かめたい。ここで開けいい?」
「はい」

 外国では、包装を豪快にびりびり破って開けるのが贈ってくれた人への感謝の意味になるらしいけど、喬一さんは丁寧に開ける。喬一さんの長い指先が丁寧にゆっくり開いていくのが、私には大切にしてくれているようで本当に嬉しかった。

「……可愛いね」
 笑いを含みながら、取り出したお弁当箱を見て彼が言う。
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