とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 もうゴムパッキンもよれよれで、使い込んでいるようだったあのお弁当箱。一度、新しいのにしないのかと聞いたら、私があげたものだからと言っていた。

 可愛いお弁当箱の方が、妻がいるとアピールになるとも言っていた。

 高級時計だって、ブランド物のスーツだって、持っている物は全て極上でいいものばかりなのに、だ。

 なので今度は、アンティークショップで見つけた洋書の形をしたお弁当箱。有名な外国のデザイナーの作った人気商品らしい。

「ありがとう。お弁当が楽しみになるね」
「いえ。ほんと細やかですが。あと、もう一個……」

 まだ紙袋の中に大きな包みがある。こっちは私の願望がつまってる。

「これは、重箱?」
「はい。喬一さんの御節が食べたいんです。お姉さんが自分より喬一さんの方が上手って言ってました」

「あの人は全く」
 と言いつつまんざらでもなさそうだ。うちは母が好きな割烹料理屋に頼んでいるので、手作りは初めてだったりする。

「甘いデザートがあるなら頑張って作るけど、どうかな」
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