*君に溺愛*
ーーーーーーーーーー


気になるのは、たった一人だけ。

「南 ルナちゃんか………。」


誰もいない廊下で、ぼんやりとその名前をつぶやく。

「なんか、欲しくなったかも。
高城雅には、似合わないよな」


どうみても美少女で、ふんわりした感じなのに……
あんなヤンキーといるのが、あり得ない。



「楽しみだな」

ニヤリ、と笑う俺。


「王子‼
何、にやついてんの?
姫、委員に誘ったんだね」

姫?誰?

「姫って誰?」


「バカねー、姫って言えばルナちゃんしかいないでしょう?
王子って何気に姫と並んだらお似合いかも‼」


なんだ、ルナちゃんか。

まあ、確かに姫なんてあだ名が付く子ルナちゃんしかいないか。

って言うか…………「君は誰?」


こんなこと言うの失礼かな。

「王子ってやっぱりバカだね‼
奈倉 リコ。
王子と同じ委員だから」


奈倉 リコ。
あー、学年で綺麗って男子が言ってた。

「あー、君ね。
そうそう、思い出した。俺、若王子 廉だよ。
よろしくね」


そう言えば、びっくりした顔する彼女。


「あはは、王子面白い‼
王子のこと、知らない人いないよ。

天然で有名だし」

きゃはは、と笑われた。


ルナちゃんは、知らなかったけど。

「まあ、例外もいるけどね姫とか」

そう、ルナちゃんは知らなかった。

「王子って、姫好き?」


「はあ!?何、き、急に⁉」

恋ばなが、苦手な俺は焦る焦る。

「王子、頑張って‼」


なんにも言ってないのに、応援されたし。

気づかれた。


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