あなただけが好きだから
「大丈夫だ怜。帰るぞ」
「う、うん」
迷いながらも蓮についていく。
その時聞こえたんだ。
「ほんと石神くんって、怜ちゃんのことだと周り見えてないよね。怜ちゃんのことすらも……」
そう本条先輩が呟くのを。
「蓮歩くのはやいよ!」
少し気が立っているのか、歩調がいつもより速い。
おかげでついていくのが大変だ。
「悪い……」
「うわ!?」
急に止まるものだからぶつかる。
鼻が痛い……。