ビーサイド

そのあと、流されてまた体を重ねてしまった私たちが目覚めたのは、13時を過ぎた頃であった。

「お腹すいた」

涼くんが欠伸をしながらそう言う。

「なんか作ろうか?」

私の言葉に目を輝かせた彼に、またこの胸はきゅんと音を立てる。

「あ、でも待って。冷蔵庫なんもないかも」

結局、涼くんの部屋の小さな冷蔵庫には、缶ビールとゼリーしか入っておらず、外に食べに行くことになった。


支度をして部屋を出ると自然と手を取られ、他愛ない会話を交わしながら、彼が笑うと私も笑って、私が笑うと彼も笑う。

こんなの、今まで洋介としていたこととなにも変わらないのだが、私たちは付き合っているわけではない。

この関係、俗にいうセフレってやつなのだろうか。
ただ、セックス“フレンド”と呼べるほどの深い仲にも思えない。

“フレンド”以下の男性に体を許すなんて、本当に私は尻軽なのかもしれなかった。


「よかった、まだやってた」

そう言って連れてきてくれたのは、こじんまりとした食堂。
昨日のお店もそうだったが、今時の若い子が行くようなお店とはちょっと違うレトロな雰囲気のお店が、彼の好みなのだろうか。

わざわざ気に留めるようなことでもないのに、そんなところさえかっこいいなぁ、なんて思ってしまう自分が怖い。


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