総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


どうやら燐さんが勝ってしまったらしい。


「ごめんなさい愁さん!」

「わーいわーい。ボクの勝ち。なにお願いしようかな」


愁さんの腕に冗談混じりに抱きつく、燐さん。


「てめ、離れやがれ、クッソ」燐さんを振り払う愁さん。


気のせいだろうか。

二人の距離感が、ぐっと近づいたように見えるのは。


「燐さん。お願いって?」

「勝ったほうがユウちゃんにワガママ言える権利をもらえるってハナシだよ」

「わたしに?」

「テメェなにルール変えてんだよ!……ユウを巻き込むな。俺たちが交わした約束は“勝ったほうが負けた方の言うことをなんでも聞く”だろ」

「サンドイッチ食べたいなー」

「ってハナシ聞けや!……俺も食う」

「そうだ。『愁はお昼抜き』ってお願いにしようかな?」

「な……!」

「ウソウソ。ちゃんと考えておくよ。キミが心底嫌がりそうなことをね」



やっぱり、

『喧嘩するほど仲がいい』って言葉は、あながち間違いでもないのかもしれない。


(二人が楽しそうで、わたしも楽しいな)


「おいしー! ユウちゃんのサンドイッチ」

「うまい」

「今ごろ幻、ほっぺ落としてるかな。泣いてるかな」

「……写真撮ってそうだな。真顔でピロリーンって音鳴らしてそうだな」

「おやつにするって言ってました」


わたしのサンドイッチ食べて、元気チャージしてくれてると嬉しいな。

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