総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「もちろん。運転手のフルネームと趣味、なんなら弱点まで全部ボクの頭にキロクされてるよ」

「問題ないって言葉。あながちジョークでもなさそうだな」

「もちろんさ。抜かりないよ。乗せる前から降りるまでボクのフードつきパーカー羽織らせてたから、ユウちゃんの制服も見せてない。もっとも、ボクが女の子といることなんて日常茶飯事だし特別気にもされないだろうけどねぇ」


あのとき寒くもないのに上着をかけられたのは身分を隠すためだったのだと気づく。


こんな事態になることをわたし自身は予測していなかったというのに、燐さんは、瞬時に判断していたんだ。


「彼にはいつもチップはずんであげるし、ボクに都合のいい証言すらとれるかな。どうする?」

「余計なことはさせなくていい」

「りょーかい」


燐さんは本当に顔が広い。頭も切れる。


……あの運転手さんの弱みってなんだろう。


それにしても、

さっきからニュースが流れていると、落ち着かない。


事態の把握のために流してくれているんだよね。


それでもわたしは――。


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