あなたの愛になりたい
それは、永遠の命の中においてさえも輝き続ける、ただ一つの“愛”。
草原を行く風のように、どこまでも続く永遠の愛―――…
ひとすじの風が吹く。
まだ薄暗い明けの空に、高く鳥の群れが飛んでいる。
黒い点は列をなして綺麗に旋回した。
彼らにもきっと、帰る家があるのだろう。
間もなく、夜の帳が開かれる。
空が紅く染まっていく。
吹く風に煽られ、木の葉が舞う。
紅に染まる小さな葉が踊った。
青く繁っていた草原にもすでに若さは見られない。
秋特有の憂いを帯びた色だ。
そこに点々と朱が散る。
落ちた木の葉が再び宙を舞うように大きな風が吹いた。
愛を求めてさまよった、愛が何かも分からなかったヴァンパイアが、ただひとつの“愛”を知った。
届かなかった想いも何もかもをその胸に納めて再び彼は立ち上がる。
漆黒に光る瞳に、かの人を宿しながら。
誰もいない草原に、乾いた風が吹く。
空を茜に染めながら優しい優しい風が行く
あなたの愛になりたい・完


