癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「ここから少し歩くけどいいか?」

光琉は、コインパーキングに車を止めると、助手席のドアを開けて遙季の手を取った。

お姫様のような扱いに、遙季は照れて腕を引いた。

「いいだろ?少しぐらい、カッコつけさせてくれよ」

遙季は真っ赤になりながらも光琉に従う。

あの激しいキスをしてから、どうもいつもの毒舌が出せない。

光琉を頭が゛男゛として認定してしまったのだろうか?

人間は唾液を絡ませることで、異性の遺伝子を判定して相性を確認するのだと何かの本に書いてあった。

手を引いて歩き出す光琉に従いながら、遙季は自分の感情に翻弄されていた。

10m位進んだ頃だろうか?

「や、やめてください!」

路地裏から女性の叫ぶ声が聞こえてきた。

暗闇と路地裏。

かつて遙季が巻き込まれた事件現場と重なる情景。

しかし、もう、遙季はフラッシュバッグに悩まされることはない。

自分と向き合い、対処法を身に付け、今では他人の相談にも乗っている。

護身術を身に付け、駅までの暗がりを何度も一人で歩いたりした。

遙季は迷いなく、女性のもとに駆け出していた。


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