家庭訪問は恋の始まり
「嘉人の父です。
いつもお世話になっております。」

型通りの挨拶を済ませ、早速、本題に入る。

「まず、こちらを見ていただけますか?」

私は、今日、嘉人くんが頑張ったひらがなプリントを見せる。

「嘉人さんは、毎日、頑張ってます。
これは、今日、嘉人さんが頑張ったプリント
です。
上手に書けてると思いませんか?」

そこには、嘉人くんが頑張って書いた『り』の文字。

「はい。そうですね。」

「ただ、嘉人さんのプリントは、みんなと
違って、カラーコピーしたものです。
なぜ、嘉人さんだけ、正規のプリントじゃ
ないかと言いますと、嘉人さんのプリントが
こうなったからなんです。」

私は、破れ、八つ当たりの落書きをし、丸めて投げられたプリントを広げて見せた。

そして、そうなった経緯を説明する。
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