家庭訪問は恋の始まり
「夕凪先生ん家の駐車場に瀬崎さんの車が
止まってるのを何度か見かけたんだ。
付き合ってるんだろう?」

ああ、そういう事!

瀬崎さんの車、珍しいから、知ってる人が見たら、すぐ分かるもんね。

「あの、違うんです。
実は、私、お料理が全くできなくて…
瀬崎さんにお料理を習ってるんです。」

「えっ?」

いつも落ち着いた武先生が、珍しく驚いた声を出した。

だけど、それも一瞬の事で、すぐにいつもの武先生に戻って言った。

「夕凪先生、いい大人が、それを信じられると
思う?」

そう…だよね。

だけど…

「信じていただくしかありません。
私も、その程度の分別は持ち合わせている
つもりです。
少なくとも、担任する児童の保護者とどうこう
なる程、無責任ではないつもりです。」

そう。
だから、瀬崎さんの様々な言葉にも、返事を返さないできたんだから。

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