家庭訪問は恋の始まり
「父さんも母さんも、ちゃんとお客さんを
連れて行くって、連絡しただろ。
なんでこんな所でパズルなんかしてるん
だよ。」

瀬崎さんが、不満気に言う。

ああ、そうか。パズルをしてたんだ。

「別にわざわざ改まる程の事じゃないじゃ
ない。
これから家族になるんでしょ?
ありのままの姿を見てもらった方がいいと
思って。」

だからって、パズル?

「ものには限度ってものがあるだろう?
それはあまりにも失礼だよ。」

怒る瀬崎さんの横で、私は思わず笑ってしまった。

「ふふっ」

「夕凪?」

瀬崎さんが私を振り返る。

「あ、ごめんなさい。
ちょっと微笑ましくて… 」

私は、その場で膝を折った。

「はじめまして。神山夕凪と申します。」

廊下に手をつき、挨拶をする。

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